「 DINING HACK ARITA 」(ダイニングハック・アリタ)vol.1
2017.11.18
vol.1
2017年11月18日に行なわれたラグジュアリーなダイニングイベント「 DINING HACK ARITA 」(ダイニングハック・アリタ) 。
福岡県糸島市で全国から食通が集うフレンチレストラン「Pinox」を営む水野健児シェフと、東京から福岡に2017年に移住したプロデューサーの伊藤レイ氏とが企画を立案。
「各分野の気鋭のアーティストやクリエイターと、魅力ある土地(陶磁器の産地、食材の宝庫)がコラボレートした一夜限りの空間で、陶磁器や地元の食材にスポットを当て新たな価値を提案するダイニングパーティ。それがDINING HACK」
と伊藤レイ氏は語ります。
国内外のフラワーショーの日本代表として活躍するフラワーデザイナー井上博登氏や、東京でハイブランドパーティのメインDJとしてや美術展の音楽監修も行なうDJAMIGA氏など才能豊かなゲストアーティストたちがこの「DINING HACK ARITA」に参画しました。
今回ダイニングの会場となったのは、
有田町丸尾にある幸楽窯。
幸楽窯といえば、5000円、10000円でバスケットに器の詰め放題できる「トレジャーハンティング」を目当てに海外からも毎日のように観光客が買物しにくることでお馴染みです。
その会場奥のスペースに、地元有田のボランティアの皆さんと共に、全長9メートルのテーブルを設置。
幸楽窯製の器が無作為に積みあがったトロ箱(本来は漁港で魚を入れる為の木製の箱)の山に囲まれた空間に、1枚布の白いテーブルクロスのかかった20席のダイニングスペースが出現。
そこにフラワーアーティストの井上博登氏の鮮やかに目を惹く作品が5作品ライトアップされ、現実かと見まがう風景が広がります。
MADE IN JAPANの和の器を愛用するという、テーブルスタイリストでもある伊藤レイ氏は、きっかけについてこう語ります。
「かねてからテーブル上だけでクールな日本を表現するのは限界があると考えていました。五感で感じられる空間、もっと言えば環境、土地が変わることも表現のひとつではないかと。そしてそれを楽しむゲストの顔ぶれと。地元の食材をワイワイと皆でテーブルを囲んで味わう、そんな壮大な、大人だからこそのアソビを考えていました。
そんな折に東京から福岡に移住して来て、水野シェフに出会い、シェフの作るフレンチの、研究者ともいえる緻密な調理方法や組み合わせ方、またアーティストともいえる、お皿上での表現の繊細さに驚きました。そんなフレンチと〝ハイブリッドな和”というイメージは、きっと融合できると思いました。シェフとは魯山人など和の器を好む趣味も共通していました。
本物志向で妥協なく実行しようと企画はすぐに立ち上がりました。そして以前からずっと心に残っていた有田焼の窯元の敷地が浮かびました。」
また、水野健児シェフはこの企画の立ち上がりについて、こう話します。
「17歳のメンデルスゾーンが、シェイクスピアの『真夏の夜の夢』を読み、感銘を受け序曲を一気に書き上げたという話があります。
何かに感動し、突き動かされて思わず表現してしまう、
料理人もその様な位置づけであるように私も感じています。
今回の企画は、アーティストが表現をして、それらをゲストが純粋に楽しめる空間を作る事に重点を置こうと考えました。」
そして、有田に何度も訪れ、料理のインスピレーションを具体化しては壊し、約2ヶ月で40〜50もの試作を繰り返したそうです。
「料理とは人です。同じように、食材もまた人だと思っています。今回沢山の生産者と出会い、その食材に通った想いを感じました。
その想いをベースに、『食材を持つ新たな可能性』をテーマに掲げ、試作を重ねました。
“私にしか出来ない料理”にたどり着けるまで、様々な事に挑戦した2ヶ月でした。」
と水野健児シェフ。
無形文化財などでコンセプチュアルなブライダル事業も展開している水野シェフの、更なる新境地と言える企画です。
一夜限り、まさに有田を「ハック」するこのイベントは、2ヶ月半の準備期間を経て、当日を迎えます。
20席限定のゲストの半分は、東京から。
メディア関係者、輸入家具会社の事業統括責任者、輸入ワインのPR…。
また福岡からは著名な文化人タレントの深町健二郎さんや、糸島ブームを作ったカリスマ的な林憲治さんという豪華な顔ぶれも。
初の開催となるこのイベントへの期待度も伺えました。
vol.2に続く